米軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリがオマーン湾で墜落、直後にアメリカとイランが互いに報復攻撃

AH-64アパッチ攻撃ヘリのWikipedia画像 アメリカ関連
アメリカ関連イラン関連中東関連軍事情報 (時事)

米紙ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)は月曜日(8日)にホルムズ海峡付近のオマーン沖で米陸軍のAH-64アパッチヘリコプターが墜落し、乗員2名は無事に救助されたと報じた。トランプ大統領はTruth Socialで報復を示唆し、数時間後イランに対する報復攻撃とする空爆を実施。その後即座にイランも報復としてバーレーン、クウェート、ヨルダンの米軍基地に弾道ミサイルを発射し、互いに報復を実施した格好となった。

出典:The New York Times

NYTの該当記事リンク:https://www.nytimes.com/2026/06/08/us/politics/us-helicopter-strait-of-hormuz.html?smtyp=cur&smid=tw-nytimes

出典:Middle_East_Spectator

出典:AMK Mapping

出典:War Noir

筆者の考えでは、おそらくAH-64は自爆型無人機を迎撃する過程で墜落した

ニューヨーク・タイムズによると、AH-64アパッチ攻撃ヘリが墜落し、乗員2名が救助されたとの報道に加えて、

It was not immediately clear whether the Apache was shot down by Iranian fire, experienced mechanical failure or encountered some other problem, said a person briefed on the incident, who spoke on the condition of anonymity.

筆者訳:事件について説明を受けた関係者(匿名希望)によると、アパッチヘリコプターがイランの軍隊の攻撃で撃墜されたのか、機械的な故障に見舞われたのか、あるいは他の何らかの問題に遭遇したのかは、現時点では明らかになっていない。

とし、墜落の明確な原因は不明であるとの報道もなされた。詳しく知りたい方は出典元であるニューヨーク・タイムズの記事を是非参照して欲しい。

ここからは筆者の推測になるのだが、イランの軍隊が撃墜した説については、イランの海岸から墜落したオマーン沖まで少なくとも100km以上離れており、イランは低空を飛行するヘリを100km以上先から仕留められるようなSAMを保有しておらず(というか世界的に見ても存在しないだろう)、撃墜したのがSAMではなく戦闘機であったとしたら、そもそもヘリに接近していることを探知した米軍により戦闘機は事前に撃墜されるだろう。またイランの海岸付近を無人機の迎撃戦闘の過程により飛行していた際に攻撃され基地に帰還する途中で墜落した可能性も考えられるが、そもそもShahed無人機の迎撃にパイロットが夢中になっていたとしてもイランのSAMの射程圏内に自分から入りに行くような行為はあり得ないだろう。よってこの説は想定される全てのシチュエーションを否定できる為、確率は非常に低いと言っていいだろう。

次は整備不良により墜落した説だが、一般論として米軍の航空機に対する整備水準は世界トップクラスであり、有事という特殊な環境だからといってリスクが生じるレベルまで機体が整備されていないというのはあり得ないだろう。だがどれだけ整備水準が高けれど、発見困難な原因による墜落事故の発生はいつか必ず起きるものであるが、確率は前者ほどではないが、相当低いと考えてよいだろう。

最後はShahed無人機を迎撃する過程で、誤って過度に機体を無人機に近づけ過ぎて接触したり、過度に傾けたりして墜落した説だ。これはウクライナの戦場でも複数発生しており、訓練されたパイロットと言えどヘリと目標が一定の距離を保ちながら撃墜を試みるのは世界的に前例が非常に少なく、難易度の高いミッションとなる為、この説は前者の2つの説と比べて最も可能性が高く、当然断言することは出来ないが、仮に有力な原因を挙げるとするならばこの説が最も適切だろう。

その後アメリカは報復としてイランを空爆、巡航ミサイル攻撃を実施

ニューヨーク・タイムズなど、アメリカの複数メディアが報道した後にトランプ大統領はTruth Socialで、

「我が偉大なる軍から、昨夜、ホルムズ海峡上空をパトロール中だった我々の最先端のアパッチヘリコプター1機が、イランの軍隊によって撃墜されたとの報告を受けた。パイロットは2名居ましたが、両名とも無事であり、けがはありません。とはいえ、アメリカはこの攻撃に対し、必然的に対応しなければならない。この件にご注目いただき、ありがとうございます!」

と墜落原因はイランによる撃墜だと述べ、数時間後に米中央軍が公式Xでイランに対する空爆を発表し、MESもイラン国内への米軍の空爆を確認した。

MESによると攻撃は3つの波で構成され、第一波ではシリク海軍基地(Sirik naval base)、ヤスク海軍基地(Jask naval base)、バンダル・アッバスの防空拠点(Bandar Abbas AD position)、ケシュム沿岸ミサイル拠点(Qeshm coastal missile position)の4箇所の軍事関連施設が空爆を受けた。またイラン国営放送IRIBの報道によるとシリクへの空爆では貯水タンクも空爆によって破壊され、バマニ地区(Bamani)への水道供給が遮断されたとのこと。

MESによると第一波からおよそ1時間半後に第二波が開始された。今回はイランに向けて巡航ミサイルが発射され、うち2発は迎撃されたものの、シリク、ヤスク、バンダル・アッバス、ケシュムで着弾したとのこと。

およそ1時間後には第三波が開始され、ブシェール州ジャム(Jam, Bushehr Province)、フーゼスタン州アフヴァーズ(Ahvaz, Khuzestan Province)が空爆を受けた。第三波終了後に米中央軍は攻撃終了を宣言した。

第三波中にジャム付近でおそらく着弾観測(ISR)用途として飛来した米軍のMQ-9攻撃型無人機と思われる航空機が撃墜されたとされる視覚的証拠が登場し、MESによると2機目が撃墜されたとのこと。

イランは即座に報復し、バーレーン、クウェート、ヨルダンに対して少なくとも17発の弾道ミサイルを発射

米軍による第三波終了直後、イランから弾道ミサイルが発射され、バーレーン、クウェートの順で空襲警報が発令された。筆者が確認できた標的はバーレーンの第五艦隊司令部とヨルダンのムワファック・サルティ空軍基地のみで、全体を通して多くが迎撃されたと見られているものの、バーレーンの第五艦隊司令部には着弾を示す視覚的な証拠が登場した。

バーレーン首都マナマの米海軍第五艦隊司令部への着弾を示す視覚的証拠

ヨルダン東部のムワファック・サルティ空軍基地から迎撃ミサイルが発射される映像

また、攻撃を実行したIRGC(イスラム革命防衛隊)は報復の際に弾道ミサイルを発射した映像を公開し、筆者が確認出来た限りではおそらく17発の発射が確認出来た。

最早未だに政治領域では停戦が宣言されている状況に驚きを隠せず、交渉の行き詰まり具合からも、いつ戦闘が完全に再開されてもおかしくない状況だ。

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