6月9日(火)、IDF(イスラエル国防軍)とイスラム教シーア派組織ヒズボラとの地上戦がレバノン南部で続くなか、少数のヒズボラ戦闘員がイスラエル北部の集落に侵入し、現地でIDFと交戦していたことが判明した。
出典:Middle_East_Spectator
出典:https://he.wikipedia.org/wiki/רכס_רמים
特殊部隊までもが配備される状況となり、侵入したヒズボラ戦闘員はおそらく全員が死亡した
当初、ヒズボラの戦闘員(よくわかっていないが、1名だった可能性)がイスラエル北部集落マルガリオット(Margaliot)に侵入し、現地でIDFの哨戒中の部隊に発砲、その後射殺されたことが判明。複数のイスラエルメディアによると判明したのは9日だったものの、軍が秘匿にしていたらしく実際は判明した9日の前日の時点で侵入があったようだ。
判明直後、マルガリオットに加えてミスガブ・アム(Misgav Am)、マナラ(Manara)でも侵入があった可能性があると報じられ、事態の大きさからなのかIDFも公式Telegramで、
先ほど、ラミム・リッジ地区(Ramim Ridge area)で活動中のIDF兵士に向けて発砲があったとの最初の報告が入りました。兵士たちは反撃を行い、同地区のテロリスト1名を制圧しました。IDF側の負傷者は報告されていません。現在も事態は進行中です。IDF兵士は同地区での捜索を続けており、現場に派遣されたイスラエル空軍の航空機が上空で活動しています。IDFは引き続き地元当局と緊密に連携しています。
と投稿し、空軍の航空機が現地に派遣されて潜伏しているヒズボラ戦闘員を捜索していることが判明した。その後、IDFの精鋭中の精鋭とされるイスラエル海軍のシャイェテット・13(Shayetet 13)が同地域に配備されたことが報道され、事態発覚からおよそ1時間後に新たに2名のヒズボラ戦闘員の死亡が確認された。その後に地域当局は戦闘員が徘徊している危険に伴うロックダウン措置の解除を行い、事態は終了した。

上画像:ヒズボラ戦闘員が侵入し、現地でIDFと交戦があったとされる地域
また、事態終了後に一部のヒズボラ戦闘員が殺害されるまでの間、IDFの小さな監視塔に身を隠していたことが判明した。
侵入したヒズボラ戦闘員は特殊部隊の細胞と見られ、未知の地下トンネルを経由して侵入した可能性、断言できる侵入目的は不明だが、独断で行った可能性
複数のイスラエルメディアは「推定によると、ラドワン部隊(IDFとの近接戦闘及びイスラエル領内での作戦を主な目的としているヒズボラの特殊部隊)のメンバーと思われる銃撃犯は、この地域にしばらく潜伏していたようだ。この地域で活動している組織全体の存在が強く疑われており、犯人はこの地域のトンネルから出てきた可能性がある。」との旨を報道し、ラミム・リッジ(国境をまたがるナフタリ山脈(Naftali Mountains)の中央の尾根地点で発砲があったことから、同山岳地帯にIDFが把握していないヒズボラの地下トンネル網が存在し、地下トンネルで複数のヒズボラ戦闘員の細胞が未だ潜伏している可能性がある。ラドワン部隊はイスラエルへの強襲を目的としている為、イスラエルとの国境付近に未だ多く潜伏していても軍事的にはおかしくない。
侵入した戦闘員は(確認出来るだけで3名)おそらく全員が即座に死亡する結果となった為、ヒズボラの目的がよく分からないが、唯一現実的にあり得るとするならば、ヒズボラは指揮系統や通信網に打撃が生じる前提を想定して、基本数名の戦闘員で構成された細胞(一般的な分隊の人数である10名前後よりも少ない場合が多い)を数千個組織し、それぞれの細胞に上位組織との連絡が途絶えた際は、多くの裁量が与えられ実質的に独立して行動する権限が与えられている。よって現在リタニ川以南のレバノン南部で多くのヒズボラの関連施設がIDFによって空爆され、多数の地上兵力で多くが占領されていることを鑑みると、国境付近に潜伏しているラドワン部隊の細胞は上位組織と連絡が途絶えている可能性が十分に考えられ、死亡する前提で後方のIDFを不定期に奇襲する遊撃戦のような戦術を独断で展開した可能性が高いと筆者は考える。
ナフタリ山脈など、国境をまたがる山岳地帯に未だに多くのヒズボラの戦闘員が潜伏している可能性が考えられる以上、必然的に今後も似たような事例が発生する可能性は無くもなく、再び発生した際は記事にしようと考えています。
キャッチアイ画像の出典:Lebanese News and Updates

