(上)出典:Middle East Spectator イランの最高指導者モジタバ氏と酷似した人物が、テヘランの親政府集会で目撃される映像
主に中東情勢を発信するテレグラムチャンネル『Middle East Spectator(以降はMESと省略)』の日本時間10月10日(土)の投稿によると、イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ氏と酷似した人物が、昨日9日(金)に行われた首都テヘランの親政府集会が行われている路上に立っている姿が撮影されたという。
イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ氏と酷似した人物が、テヘランの親政府集会で目撃される映像
出典:Middle East Spectator
該当投稿リンク:https://t.me/Middle_East_Spectator/37552
※Middle East Spectatorは明らかに親イラン的な思想を持つアカウントだが、投稿される情報のファクト性については高い水準で維持することを心掛けており、私は基本的には信頼できる情報源の一つと判断している。
ファクトチェックとモジタバ氏の近況に関する評価
※以降は筆者の分析になるため、今から語られる内容が、決して現在の状況を正確に読み当てているわけではないこと、根拠となる情報が正確でない可能性があることに留意が必要だ。あくまで一人の意見として聞いてほしい。
生成AIやディープフェイクの類ではなく、動画自体は本物の可能性が高いと考える。また、過去の映像である可能性も低い
MESはこれはAIで生成されたものではないと主張しており、筆者も「ピクセル数が均一でない」,「非現実的な滑らかさ」,「本来静止している物体が、連続で生成されていることにより、やや移動して見える」ことなどが確認できなかったため、AIやディープフェイクではなく動画自体は本物とみられる。また集会参加者が振っている、かつての最高指導者ホメイニ氏及びアリー・ハメネイ氏が印刷されているイラン国旗はイラン戦争開戦以降に頻繁に見られるようになった国旗なため、戦争以前の過去の映像である可能性はゼロとは言えないが、低いと考える。
映像に映っている人物がモジタバ氏本人かは不明だが、仮に本人なら、これまでのイラン政府筋の主張が最も事実に近かったことになる
モジタバ氏が親政府集会に姿を現したという情報は今回が初めてではなく、以前にも映像などの客観的情報こそなかったものの、主張自体はされていた。これは以前の記事にまとめてある。

しかしそれらは単に集会を盛り上げるために虚偽の情報を流しているとも十分捉えることができたため、信憑性は得られなかった。だからこそ今回は映像という視覚的情報が得られていることから、異例の事象と言える。
最大の問題は映像に映っている人物が、モジタバ氏本人かということだ。
MESは投稿で、明らかに本人ではないと主張しているものの、この主張は仮にこれがモジタバ氏本人である可能性が高いと認めれば、従来のアメリカ・イスラエルによる暗殺を避けるために表舞台に姿を現してこなかったというナラティブを覆すことになることの重大性を踏まえた保守的な意見ではないだろうか?
確かに筆者もモジタバ氏は用心深い性格である可能性が高いことは認めるが、イラン戦争開戦以降、イランの親政府集会にはこれまでに、モジタバ氏が最高指導者に就任するまで実務面で事実上最高指導者の代理を務めていたラリジャニ氏や、名目上最高指導者の代理を担う暫定指導評議会のメンバー(ペゼシュキアン大統領、エジェイ司法長官、アラフィー氏)、加えてイスラム革命防衛隊(IRGC)の将官級の軍人などが予告も無しに政府支持者と共に路上で参加していたことを考えると、モジタバ氏が政府支持者とともに予告無しに参加していることはそれでも確かに、ある程度の違和感は拭いきれないが、決してあり得ないと断言できるほどの違和感ではないと考える。
それらを踏まえたうえで、今回の映像とモジタバ氏の画像を比べてみてほしい。私にはモジタバ氏の外見上の特徴が概ね一致していることから、同一人物である可能性は考えられると思っている。
仮に本人であるならば「開戦当初に軽度の負傷を負い、現在は職務を通常通り遂行している。」という旨のイラン政府筋の主張が最も事実に近いという評価になる。今回の映像では目立った外傷は見られなかった。
今回の映像が本人であるならば、
「モジタバ氏が開戦当初に負傷したという報道は、数ヶ月も前の話であり、現在は殆ど完治している。
現在は戦闘も以前と比べて比較的に落ち着いており、加えてアメリカ,イスラエルは共に近いうちに総選挙を控えており、大規模な軍事衝突や暗殺攻撃が近日中に発生する可能性は現時点では低いと判断して、セキュリティ上の観点から非公式な形で姿を現し始めた」
という仮説を立てられる。
但しこれは、これまでに何度も言ったように、今回の映像が本人である前提で話が進められており、映像に映っているのは本人ではなく、極めて似ているそっくりさんウラマー(神学などを修学した者のこと)、またはモジタバ氏及びウラマーを装った人物(しかしイランにおいて黒いターバンやウラマーの法衣を無資格で着用・偽装する行為は、治安当局から厳しく取り締まられる対象で、最悪死刑になる可能性もあり得る。特に治安要員が監視する親政府集会で一般人がその格好をして成りすますリスクは極めて高いため、単なる個人的なコスプレである可能性は低いと考えられる)。または過去の映像であるかもしれない。過去の映像については可能性は低いと先ほど評価したものの、”可能性”自体は残されている。他にも、本人であることを否定する多様な考察ができるだろう。
話がややこしくなってしまったが、筆者から確実に言えることは、今回は比較的信憑性は高いものの、それでもモジタバ氏に関する不明瞭な情報シリーズの新たな一つと捉えてほしい。

